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被写体の自然な表情を撮影する目的で身を隠し撮影する[[写真家街角で身を潜めながらカメラを構える男の鋳像(スロバキア・[[ブラチスラバ)盗撮(とうさつ)とは、被写体、または対象物の管理者に了解を得ずにひそかに撮影を行うこと。あるいは撮影を禁じられた美術品などでの撮影や、映画館などで上映中の映画をビデオカメラなどで撮影すること。隠し撮りとも言う。

用語の上では、主に不法・違法行為を前提として、権利者や被写体にとって不正あるいは迷惑と感じられるニュアンスを含む場合にこの表現を使用する。ただし、社会的な公共性が伴うドキュメンタリー撮影において軍事政権などの撮影に隠し撮りなどの手法が使われる場合もある(後述)。

主にネット上では、街頭での同様の行為を指して婉曲的に「街撮り」と表現することがある。

かつては、浮気現場をおさえるためなどに探偵が不法に撮影をおこなうことや、産業スパイなどが超小型カメラを利用して隠し撮りをすることなどが主として連想されていたが、1980年代頃から写真週刊誌に掲載する目的で芸能人や著名人を追いかけまわすパパラッチによる商業目的でのプライバシー侵害行為がさまざまな問題となった。また一般市民による犯罪行為あるいは迷惑行為として、女性のスカート内部を撮影するなどの破廉恥行為としての盗撮が問題視されるようになった。

盗撮の歴史


盗撮の歴史は、撮影機器の進化の歴史でもある。一眼レフカメラ望遠カメラなどによる静止画盗撮から、8ミリフィルム8ミリビデオカメラのお粗末なカモフラージュによる動画撮影へとシフトし、さらにより小型化されたCCDカメラや暗がりでの撮影を可能にした赤外線カメラ、そしてデジタルカメラ携帯カメラ、無線方式のカメラへ、2000年代以降は、GHz帯の電波を利用する小型な「無線方式のカメラ」で盗撮するなどの犯行も行われている。デジタルカメラは普及初期にはシャッター音がまったくしない性質から盗撮に利用されることが多く、2000年にソニー・シャープの製品からシャッター音が付加されるようになり、日本製品では原則としてシャッター音が付加されない製品の発売はなくなっている。

カメラ付き携帯電話についても、その性質上盗撮などに使われるおそれがあることから、日本向け製品のみ撮影時にシャッター音が発生する仕様になっている(外国向けモデルにはないものもある)。試作段階では、シャッター音のしない機種も存在していた。一眼レフカメラの場合、当然のことながら撮影時にはそれなりの大きさの音が発生するため、基本的には盗撮にはむいていない。しかしながらレンズ一体カメラの場合、カタログにシャッター音を消すことが可能といった断り書きが書かれていることもあって、間接的な形で盗撮を目的とする購買者の関心を助長している現状にある。

また、盗撮画像・動画はひろくインターネットに出回っている。これらの盗撮問題が告発されたこともある。また、盗撮画像・動画を商業目的で撮影し、ビデオDVDといった形にし販売する者もいる。ただし、「盗撮モノ」として商業目的で販売されている画像・動画の全てが被写体人物に無断で撮影されたものとは必ずしも限らず、一般のアダルトビデオと同様に企画された演出に基づいて制作されている作品もある。

更に一部では、競技会などで水着レオタードなど比較的露出の多い着衣状態の競技者を狙って盗撮が行われる場合もあり、これらの映像を買い取り販売する業者も存在する。この中には18歳未満の児童を対象にしたものも複数存在するが、多くの販売サイトでは「(ポルノではなく)観戦映像である」との注意書きが併記され、名目上取締りの対象外であるとしている。

盗撮の定義の問題


盗撮は近年、社会問題化している。上映映画に対する盗撮行為の処罰など法制化されたものもあるが、「盗撮」一般を刑事処罰の対象として規制する上においては運用面で難しい点があり、さまざまな不法行為が蔓延している。営業秘密や技術秘密を盗撮した場合は不正競争防止法窃盗罪業務妨害罪などに問われる。競合小売店の陳列や価格情報などの撮影なども業務妨害罪に問われる可能性がある。一方で書店などで雑誌の内容を撮影して窃取するような場合、窃盗罪の成立については懐疑的な見方が有力である(デジタル万引き)。法廷に提出するための証拠写真として「盗撮」を使用したばあい、刑事法廷では違法収集証拠排除法則により証拠能力が否定される。一方民事では必ずしもこの原則に従うわけではなく、たとえば浮気相手と道端でキスしている場面を撮影した場合、人格権を根拠に民事請求(撮影者に対して損害賠償の請求や、頒布の差し止め請求など)は可能であるが、「データを消去しろ」「ネガを渡せ」などと請求したり(証拠物件として差押は可能だが没収になるかは案件による)、撮影の違法性そのものを問うため刑事裁判に訴えることは困難である。

一般に、人物が特定できる(必ずしも顔ではなくても良い)様式形で撮影された画像については人格権を問うことができるため、破廉恥な画像でなくても撮影行為そのものの拒否や、頒布の差し止め請求は法的正当性をもつと考えられる。

海岸やその周辺道路など公共の場所で水着の女性を無断で撮影する例を挙げると、各自治体が迷惑防止条例において卑猥行為を制定している場合には、取締りの対象になることがある。しかしながら、この場合の水着は公共の場所において、他人に見られる事を基本的に了承する形で女性が身に付けている衣装であることを考えると、この姿を撮影することが果たして犯罪性を持つとまで言えるものなのかどうかについては法理的には難しい問題を含んでおり、他者危害原則と公的規制の根本的な議論は取り扱わず、取締りが先行しているのが実情である(民事上での人格権は当然に問うことはできる。また行政管理者による民事上の管理行為そのものを回避するわけではない。サーフボード使用の禁止や域内での喫煙の禁止などと同様である。この場合適正な管理行為に従わない場合威力業務妨害罪に問われる可能性がある。撮影済みの被写体画像については人格権が問われる)。

報道機関が報道内容として海岸での水着を着た女性の映像を利用することがあり、このような場合は公の報道の利益を考量したうえでの相当に慎重な画像利用が原則(相当性の法理たとえば「報道の自由と名誉保護との調和」坪井明典(日本弁護士連合会「自由と正義」2005.9)http://www.lawschool.tsukuba.ac.jp/admin/18zennbunn.pdf)であり、このような場合には被写体の承諾を特に取り付けることは一般に行われない。

肖像権や人格権が厳しく問われるようになった近年までは、プロカメラマンアマチュアカメラマンを問わず、広く町角において他人の写真を無断で撮影することは長く芸術表現として認知されてきた歴史があった。現在では商業カメラマン(いわゆるプロ)は許諾のない対象物は撮影しないのが常識である(許諾がないと当然に販売・頒布できないため)。パパラッチやスキャンダル写真誌はこの点において相当踏み込んだ法的状況のもとで活動をしていることになる。

町角のスナップなどでは人格権に抵触しないようアングル構成を配慮するのは当然として、祭り伝統行事などでも主催者に撮影許諾を確認したうえで撮影する(撮影禁止の伝統祭事や商業イベントは非常に多い)。

一方でアマチュアカメラマンのなかでもとくに問題意識の低い層はプライベート写真や頒布を目的としない上で許諾された写真などを安直に公開しがちで、アサヒカメラ日本カメラなど、編集の加わる写真雑誌の読者投稿コーナーなどでは事前に肖像権や人格権について判定したうえで採否されるようなものであっても、Winnyや画像投稿サイトに不用意にアップロードすることで不法な侵害行為を行い問題となっている「Winnyと著作権・匿名と個人情報保護の間で」http://ocw.kyoto-u.ac.jp/graduate-school-of-informatics-jp/course-information-security/pdf/lecturenote11-01.pdf

いわゆる「破廉恥」盗撮について、近年はカメラ付きき携帯電話や安価な小型デジカメが登場し、安易に低俗な好奇心を満たす目的で他人の羞恥心を害するような撮影が一部の者により行われるにいたり、カメラを他者に向けること自体を非難する風潮が広がった。

盗難事件と法律

事件


猥褻行為以外の例では、2003年以降に、ゴルフ場健康ランドの貴重品ロッカーの暗証番号を設定する操作パネルを撮影するように小型隠しカメラを取り付け、記録した暗証番号でロッカーを開けて客の貴重品を盗む事件が発生した。またその番号を記録し、盗み出した財布などに入っているキャッシュカードクレジットカードから、暗証番号としてこの番号を入力し現金などを騙し取る試みも行われたとの報道もあった。多くの人間が、複数のカードの暗証番号を同じにして使っている心理を突いた犯行である。2005年には、銀行などの金融機関現金自動預け払い機(ATM)の上部に小型隠しカメラを取り付け、キャッシュカードに記載された口座番号や、操作パネルで入力する暗証番号を撮影、記録したうえでキャッシュカードやクレジットカードを偽造し、現金が引き出される被害が発生した。いずれも無線式カメラで、別の場所で映像を記録していたもの。

法律


このような盗撮行為は、軽犯罪法や各地方自治体迷惑防止条例などで取り締まりの対象となっており、特に、近年は、増加する盗撮被害に合わせて、取り締まりや罰則を強化する動きがある。ATMや貴重品ロッカーに隠しカメラを取り付けた問題では、建造物侵入罪で捜査されている。現在は公の場所でしか取り締まる事は出来ないが、2006年7月6日奈良県公の場所以外での盗撮を禁止しようとする条例を検討するとの発表があった。これは、奈良県警の警察官が救急車内で女性の下着を盗撮したが、「救急車内は公の場所では無い」という理由から立件されなかったためである。2008年2月、三重県警の巡査がトイレにビデオカメラを設置して盗撮したことが発覚した際には、「飲食店のトイレは迷惑防止条例適用の条件となる『公共の場所』には入らない」(本部生活環境課)との見解が示され、罪が軽い軽犯罪法が適用された。しかし、盗難事件の相次ぐ銭湯脱衣所寝室ラブホテル特殊風俗店監視カメラを設置するなど、目的が理にかなっている場合は、問題視はされても、取り締まりの対象にはなっていないのが現状である。監視カメラでの撮影は、法に抵触していないために起きる問題である。

盗撮自体に対する法律が制定されるまでは、盗撮カメラを他人の住居に設置した場合には「建造物侵入」として罰するなどが行われていた。肖像権を含めて、人権の被害状況はなかなか知り得ないし、掌握できない状況におかれていることは間違いない。

なお、映画館において映画作品を盗撮することは、知的財産権の観点から映画の盗撮の防止に関する法律違反で刑事罰の対象となっている。

最高裁判決


2008年11月10日最高裁判所第三小法廷は、北海道ショッピングセンターで女性客の後ろを執拗に付け狙い、カメラ付き携帯電話ズボンを着用した同女性の臀部を近い距離から多数回撮影した行為を、被害者を著しくしゅう恥させ、被害者に不安を覚えさせるような卑わいな言動に当たるとして、北海道の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」に違反すると認定した裁判所裁判例情報(事件番号 平成19(あ)1961)。水着や裸体ではなく着衣の姿であっても、被写体人物を著しくしゅう恥させ、不安を覚えさせるような撮影行為は条例違反になることを示した。

予防法


  • 女性が盗撮から身を守る基本的な予防法は、スカートを穿かない事(スラックスなど)・もしくはキュロットスカートを履くことであるが、スカートの下にスパッツ等を履いておくことも対処の一つである。このような行為は、階段の多いコンコースや、注意が散漫になりやすいゲームセンタープリクラコーナーなどで発生することが多い。
  • 周囲になるべく注意を払う。不審者などの存在に関しては当然として、女性の場合はトイレ・浴場などの場に不審な荷物が不自然な角度で置かれていないかをチェックする。
  • 万一、被害に遭ってしまった(疑惑も含めて)場合には、恐れずにすみやかに周りの人にそれを知らせる。
  • 盗撮者に間違われる疑いを避けるため、必要のないデジタルカメラやデジタルビデオをむやみに持ち歩かない。
  • 携帯電話やデジタルカメラなどで人物や風景などを撮影する際には、周囲の人から盗撮行為を疑われないような状況であるか確認しておく。
  • 撮影時に、ファインダー内に見知らぬ第三者が入らないよう細心の注意を払う。
  • どうしても人物の写真を撮影したい場合には、トラブル防止の為に相手の了解を得てからにする。

一方、ATMなどについては

  • 機械に不審な物体が外付けされていないか。
    • この一件があってから、多くの金融機関では機械に外付けされていた預金やローンなどの自社パンフレットなどを収納しておくケースなどを、外すなどの措置を取った。
  • ゴルフ場や健康ランドでの盗撮については、内部犯行であったことが判明したため、根本的な対処が困難である。ATMの場合でもいえるであろうが、操作パネルを周囲から隠しながら機械操作を行うような消極策しか取れないであろう。(ロッカーで使う暗証番号には、キャッシュカードやクレジットカードの番号と違うものを使うというのも一つの対策法である)

ドキュメンタリー映画の撮影手法としての隠し撮り


ドキュメンタリー映画においては軍事政権などは盗撮でしか撮影しえないため、社会に見せる公共性を伴う映像の撮影の為に隠し撮りを一概に否定できないとする見方もある『創』2010年9・10月号「映画「ザ・コーヴ」とドキュメンタリーを論ず」 ASIN B003XNGJOW 。何かと非難の多い『ザ・コーヴ』のイルカ漁のシーン自体もフリージャーナリストの綿井健陽は社会に見せる公共性があり、隠し撮り以外で撮れないだろうとしている。また、映画監督の森達也はドキュメンタリーは盗撮の要素を否定してはありえない、通常の報道においても群集を撮影するのに一々説明しない手前、盗撮的な要素は入るものであるという見方もある『創』2010年6月号「上映禁止が懸念されるドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」を論じる!」ASIN B003IK408C 綿井は撮影手法として肯定してはいるが、『ザ・コーヴ』の製作者の被写体となった漁師たちに対する傲慢さは批判している。

脚注


関連項目



性犯罪
セキュリティ技術
プライバシー



出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』